新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(厚生労働省)
中央会からのお知らせ2020年04月07日
厚生労働省からのお願い
新型コロナウイルス感染症の拡大防止につきましては、令和2年3月 28 日に「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(新型コロナウイルス感染症対策本部決定)が発表され、状況の変化に即応した情報提供や呼びかけを行い、爆発的な患者の急増(オーバーシュート)リスクを回避するための国民の行動変容を求めております。
こうした提言や昨今の状況にかんがみ、新型コロナウイルス感染症の大規模な感染の拡大防止に向けて、職場において事業者、労働者が一体となって、下記の対策に適切に取り組んでいただきますようお願い申し上げます。
記
1 職場における対策の基本的な考え方
新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するためには、①密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、②密集場所(多くの人が密集している)、③密接場面(お互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や発生が行われる)という3つの条件が同時に重なる場を避け、事業者、労働者それぞれが、職場内外での感染防止行動の徹底について正しい知識を持って、職場や職務の実態に即した対策に取り組んでいただくこと。このため、事業者においては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に積極的に取り組む方針を全ての労働者に伝えていただくとともに、労働者も取組の趣旨を踏まえて感染拡大防止に向けた一人一人の行動変容を心がけていただくことが重要であります。
2 大規模な感染拡大防止等に向けた対策について
新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大を防止するために、以下の内容及び別添の「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」を参考として、事業場の実態に即した、実行可能な感染拡大防止対策を検討いただきたいこと。
その際、事業場に、労働安全衛生法により、安全衛生委員会、衛生委員会、産業医、衛生管理者、安全衛生推進者、衛生推進者等が設置・選任されている場合、衛生管理の知見を持つこうした労使関係者により構成する組織を有効活用するとともに、労働衛生の担当者に対策の検討や実施への関与を求めていただきたいこと。
なお、新型コロナウイルス感染症への対応策については、新たな知見が得られるたびに充実しているところであるので、逐次「新型コロナウイルス感染症について」(厚生労働省ホームページ)を確認いただきたいこと。
(1)職場内での感染防止行動の徹底
(換気の徹底等)
・ 必要換気量(一人あたり毎時 30m3)を満たし「換気が悪い空間」としないために、職場の建物が機械換気(空気調和設備、機械換気設備)の場合、換気設備を適切に運転・管理し、ビル管理法令の空気環境の基準が満たされていることを確認すること。
・ 職場の建物の窓が開閉可能な場合は、1時間に2回程度、窓を全開して換気を行うこと。
(接触感染の防止)
・ 物品・機器等(例:電話、パソコン、フリーアドレスのデスク等)については複数人での共用をできる限り回避すること。
・ 事業所内で労働者が触れることがある物品・機器等について、こまめに消毒を実施すること。
※ 手で触れる共有部分の消毒には、薄めた市販の家庭用塩素系漂白剤で拭いた後、水拭きすることが有効であること。家庭用塩素系漂白剤は、主成分が次亜塩素酸ナトリウムであることを確認の上、0.05%の濃度に薄めて使用いただきたいこと(使用方法の詳細はメーカーのホームページ等で確認いただきたいこと)。
・ せっけんによるこまめな手洗いを徹底すること。また、洗面台、トイレ等に手洗いの実施について掲示を行うこと。
・ 入手可能な場合には、感染防止に有効とされている手指消毒用アルコールを職場に備え付けて使用すること。
・ 外来者、顧客・取引先等に対し、感染防止措置への協力を要請すること。
(飛沫感染の防止)
・ 咳エチケットを徹底すること。
・ 風通しの悪い空間や人が至近距離で会話する環境は感染リスクが高いことから、その規模の大小にかかわらず、換気等の励行により風通しの悪い空間をなるべく作らない等の工夫をすること。
・ 事務所や作業場においては、人と人との間に十分な距離を保持(1メートル以上)すること。また、会話や発声時には、特に間隔を空ける(2メートル以上)こと。
・ テレビ会議、電話、電子メール等の活用により、人が集まる形での会議等をできる限り回避すること。
・ 外来者、顧客・取引先等との対面での接触や、これが避けられない場合は、距離(2メートル以上)を取ること。また、業務の性質上、対人距離等の確保が困難な場合は、マスクを着用すること。
・ 社員食堂での感染防止のため、座席数を減らす、昼休み等の休憩時間に幅を持たせて利用者の集中を避ける等の措置を講じること。
・ その他密閉、密集、密接となるような施設の利用方法について検討すること。
(一般的な健康確保措置の徹底等)
・ 疲労の蓄積(易感染性)につながるおそれがある長時間の時間外労働等を避けること。
・ 一人一人が十分な栄養摂取と睡眠の確保を心がけるなど健康管理を行うこと。
・ 職場において、労働者の日々の健康状態の把握に配意すること。(例:出勤前や出社時等に体温測定を行うなど風邪の症状含め体調を確認する等)
(2)通勤・外勤に関する感染防止行動の徹底
(接触感染の防止)
・ 出社・帰宅時、飲食前の手洗いや手指のアルコール消毒を徹底すること。
(飛沫感染の防止)
・ 咳エチケットを徹底すること。
・ 多くの人が公共交通機関に集中することを避ける、職場内の労働者の密度を下げる等の観点から、時差通勤のほか、可能な場合には公共機関を利用しない方法(自転車通勤、徒歩通勤等)の積極的な活用を図ること。あわせて、適切な労働時間管理、超過勤務の抑制にも留意すること。
・ 通勤時、外勤時の移動においては、電車等の車内換気に協力すること。
・ 通勤時、外勤時の移動で、電車、バス、タクシー等を利用する場合には、不必要な会話等を抑制すること。
・ 出張による移動を減らすため、テレビ会議等を活用すること。
(3)在宅勤務・テレワークの活用
・ 職場や通勤・外勤での感染防止のための在宅勤務・テレワークを活用すること。
・ 感染の恐れがある労働者が勤務を継続できるよう、在宅勤務・テレワークを活用すること。
3 風邪症状を呈する労働者への対応について
新型コロナウイルスに感染した場合、数日から 14 日程度の潜伏期間を経て発症するため、発症初期の症状は、発熱、咳など普通の風邪と見分けが付かない。このため、発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者については、新型コロナウイルスに感染している可
能性を考えた労務管理とすること。具体的には、次のような対応が考えられること。特に、①高齢者、②基礎疾患がある者、③免疫抑制状態にある者、④妊娠している者について配慮すること。
・ 発熱、咳などの風邪症状がみられる労働者への出勤免除(テレワークの指示を含む)を実施するとともに、その間の外出自粛を勧奨すること。
・ 労働者を休業させる場合、欠勤中の賃金の取扱いについては、労使で十分に話し合い、労使が協力して、労働者が安心して休暇を取得できる体制を整えること。
・ 風邪の症状が出現した労働者が医療機関を受診するため等やむを得ず外出する場合でも、公共交通機関の利用は極力控えるよう注意喚起すること。
・ 「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安(具体的な目安は以下を参照)」を労働者に周知・徹底し、これに該当する場合には、帰国者・接触者相談センターに電話で相談し、同センターから帰国者・接触者外来の受診を指示された場合には、その指示に従うよう促すこと。
「新型コロナウイルス感染症についての相談の目安」
次の条件のいずれかに該当する場合には、最寄りの保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」にお問い合わせいただきたいこと。
① 一般の方(②及び③以外の方):
・ 労働者に風邪の症状や 37.5℃以上の発熱が4日以上続いている場合(解熱剤を飲み
続けなければならないときを含む。高齢者や基礎疾患等のある場合は2日程度続く場
合。)
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
② 高齢者をはじめ、基礎疾患(糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など))
がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方:
・ 風邪の症状や 37.5 度以上の発熱が2日程度続く場合
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
③ 妊娠中の方:
・ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が2日以上続く場合
・ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合
4 新型コロナウイルス感染症の陽性者等が発生した場合の対応について
事業者においては、職場に新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者(以下「陽性者等」という。)が発生した場合に備え、以下の項目を盛り込んだ対応ルールを作成し、労働者に周知いただきたいこと。
・ 労働者が陽性者等であると判明した場合の事業者への報告に関すること(報告先の部署・担当者、報告のあった情報を取り扱う担当者の範囲等)
・ 職場の消毒等が必要になった場合の対応に関すること
・ 労働者が陽性者等になったことをもって、解雇その他の不利益な取扱いや差別等を受けることはないこと
・ その他(必要に応じ、休業や賃金の取扱いなどに関すること等)
5 新型コロナウイルス感染症に対する正しい情報の収集等
事業者においては、国、地方自治体等がホームページ等を通じて提供している最新の情報を収集し、必要に応じ感染拡大を防止するための知識・知見等を労働者に周知いただきたいこと。
なお、新型コロナウイルス感染症に関する個別の労働紛争があった場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーにおいて相談を受け付けていることも、併せて周知いただきたいこと。