二戸医師会 小野寺正信 |
今回、 産業医実地研修会で近くのダム建設現場を訪れることになりました。
灌漑と水量調節が目的のダムとのことですが、
ろくな米の取れない土地で、 どんな作物を考えているのかわかりません。
また、 他のダムの例を見ても水量調節できるダムは殆ど見当たらないし、
ダムの寿命は百年で半分埋まるとの予定、 流域の環境を考えれば、
酪農、 畜産、 牧草地、 傾斜地の野菜畑、 一度雨が降れば多量の土砂の流れは間違いありません。
企業利益と、 地元に金を落とす為だけの公共事業による自然破壊としか思えません。
5年前までは、 この地は松茸の宝庫でした。 工事が始まってからも100人を越える作業員が、 昼飯も食わずに毎日血眼になってキノコを探しています。 今ではダムの周辺はすっかり荒れた山になってしまいました。 15年前、 右のダムサイドに小さな赤松の山がありました。 家から少し急げば15分程度で着きます。 山に昇るには5分とかかりません。 山の中腹に直径3m程の岩が突き出ていました。 その岩の5m右側にコブのついた松の木があります、 この木の更に5m右に灌木と交叉した松の木があります、 この木のすぐ右を見ますと、 ありました、 ありました、 立派な松茸が2本かすかに頭をのぞかせています。 松茸は輪状に直径約1m程度の松の根より直接生えますが (松茸菌のinfectionです) この輪をシロと呼び、 この山では私の (?) シロは6ケ所でした。 5本とって仕事の前に家に帰ります。 子供に見せますと"マツタケ マツタケ マツタケ マツタケ"いつもの松茸の歌を歌います。 今夜が楽しみです。 その場所は今厚いコンクリートの下で眠っています。 目を覚ますことは永久にありません。 今では山に行っても、 1〜2本取れればいい方です。 仕事前に山に行くのもしんどくなりました。 5年前変わり果てたその山に感謝を込めてお別れをしてまいりました。 |