特集

“ペイオフ”について

岩手県医師信用組合   
常務理事 駿河 郁男

1. 預金保険制度 (ペイオフ) のあらまし
 預金保険制度は、 金融機関が万が一破綻したときに預金者等 (以下 「預金者」 といいます) を保護し、 信用秩序の維持に資することを目的としており政府、 日本銀行及び民間金融機関の出資により設立された預金保険機構が運営の主体となっています。
 預金保険で保護される預金等の限度額は、 平成14年4月1日以降、 保険の対象となる預金等については、 一金融機関ごとに預金者1人当り元本1,000万円までとその利息等 (以下 「付保預金」 といいます) の合計額となります (定額保護)。 なお、 平成15年3月までは、 当座預金、 普通預金、 別段預金、 通知預金等については全額保護が継続されますので、 これらを除いた保険の対象となる預金等についてのみ、 この定額保護が適用されます。
 定額保護下では、 保険の対象となる預金等のうち元本1,000万円を超える預金等及び保険の対象外の預金等並びにこれらの利息等は、 破綻した金融機関の財産の状況等に応じて支払われますが、 一部カットされることがあります。
 
2. ペイオフの発動は金融機関が破綻した場合が大前提です。
 金融機関の破綻処理には、 段階があります。
 金融機関の経営の安全度をみる重要指標に自己資本比率があります。 自己資本比率が国内営業基準である4% (海外に店舗を有する国際基準は8%) を下まわった金融機関に対して、 金融庁から早期是正措置の勧告がなされます。 そして再建が可能であれば資本投入等が行われ、 逆に再建が困難と判断されますと、 破綻処理が行われることになります。
 今まで数多くの金融機関が破綻いたしました。 信用組合業界も例外ではありませんでした。
 しかし、 2002年4月1日で生き残った金融機関は安全であると言われております。 そして政府も、 ペイオフ解禁後においても金融秩序維持の為には全力をつくすと言っております。 つまりはペイオフ実施後においても、 公的資金の投入や合併あるいは営業譲渡等、 破綻を防止した救済措置がありうるのです。
 さらに各業界はもとより、 当信用組合業界においても個別信用組合の経営上の問題点を早期に発見し、 改善するための 「モニタリング制度」、 「監査・指導制度」 および経営安定化のための 「資本増強支援制度」 等3つの制度を柱に、 新しいセーフティネットである 「信用組合経営安定支援制度」 を構築し万全を期しております。
 
3. 岩手県医師信用組合の経営の健全性について
 当組合は、 昭和46年4月創業以来、 健全経営に徹してまいりました。 組合員の先生方ならびに関連諸団体のご支援ご協力により、 過去に毀損した不良資産は皆無であります。
 昨今の厳しい経営環境のもと、 平成12年度 (13年3月期) において業務純益は258百万円、 税引後当期利益は172百万円を計上し、 自己資本比率は15.63%と国内基準値である4%を大巾に上まわる水準を維持しております。

ちなみに 岩手銀行 11.42%、 北日本銀行 9.33%
東北銀行  7.10%    13年3月期

 当組合は、 医師・医療関連向け金融機関としての特異性があり、 他金融機関と比して不良債権は17百万円と少なく (回収不能の債権ではなく、 当初返済条件を緩和した債権です。) また、 有価証券の運用は株式運用ではなく、 信用リスクを重視した日本国債、 地方債、 A格以上の社債かつ1銘柄3億円以内と分散した運用をしており、 その結果13年12月末現在の有価証券の評価益 (含み益) は13億57百万円を有し健全な資産運用をしておりますので、 引続きご信頼をいただきご安心してお取引下さいますようお願い申し上げます。


目次へ前のページへ次のページへ