人物クローズアップ

人物クローズアップ vol.13

開業医の役割は初期診断と初期治療
総合内科専門医としての
重要な役割も担っていると思います

おおうち消化器内科クリニック院長
大内 健(宮古医師会)

よりやりがいがあり 必要とされるところで開業

宮古駅近くに開業して8年になります。宮古市内に限らず田野畑村、田老、旧新里、山田町、川井など医療圏は広いですね。駅前を選んだのは、バスや列車など公共交通機関を使われる方は一旦宮古駅に降りますから、交通の利便性を考えてのことです。

父が山形市で内科を開業しており、子供の頃から自然に医師になろうと思っていました。岩手医大を卒業し、大学で勉強してから山形に帰る予定でしたが、県立宮古病院の勤務が10年近くにわたり、長く暮らしたこの町にすっかり馴染んでいましたし、医師会の先生方とも親しくなり、開業するのであればよりやりがいのある必要とされるところにしようと、宮古での開業を決意しました。

宮古医療圏も他地域と同様、高齢化が徐々に進んできていることから高血圧や糖尿病、生活習慣病が多くなっています。結局、私たち開業医の役割は、初期診断、初期治療だと思うので、自分の専門としてきた消化器科はもちろん、ほかの領域もまったく知らないというわけにはいかない。そこが大きな違いでした。

いわば「総合内科専門医」としての役割が求められているのだと思います。当初は消化器中心で診るつもりでしたが、血圧など消化器疾患以外の患者さんが予想以上に多く、勉強不足でしたので医師会の講演会などに参加して勉強しながらやっている状況です。

100キロマラソンに挑戦 達成感と感動が素晴らしい

今思うに、勤務医時代は医者の不養生というか不健康な生活でした。食事の時間もまちまちで夜遅くに食べたり飲んだり。案の定、年々体重が増えてしまい、気が付いたらBMIが25を大きく超えていました。そこで何か運動をしなければと決意したんです。まず始めたのが、当時病棟が7階にあったのでエレベーターを絶対使わないと決めて階段を1日に3〜4回上り下りし、もの足りなくなりスポーツジムのランニングマシーンで走りましたが、最初は1キロも走れなくて、ここまで体力が落ちているのかとショックを受けました。

でも、ゆっくり長く走ることは性にあっているようです。1キロ、2キロと距離を延ばしていくうちに大会で力を試したくなり、初めて出たのは5月に雫石で行われる岩手山ろくファミリーマラソンのハーフ部門。予想外にも東京マラソンに抽選が当たって出場しました。初めてのフルマラソンで完走はしましたが、ゴール後は暫くの間歩くのがやっとでした。4時間半以上かかりとても不甲斐ない結果で悔しい思いをし、益々練習するようになりました。今のフルマラソンの自己ベストは3時間25分台です。

地元のサーモンハーフマラソン大会に参加すると沿道より「先生がんばれ!」と声援が聞こえて嬉しい事もあります。

2009年からは毎年6月に行われる銀河ウルトラ100qマラソンに出ています。北上から花巻、そして旧沢内を越えて雫石に向かうコースです。途中は山間を走る厳しいコースで高低差は400メートル。100キロで制限時間は14時間以内。なんと朝4時に出発します。1、2年目は途中棄権したり時間切れだったりと苦戦しましたが、そこから練習方法を工夫したり、あとは慣れもあってか3年目から今年まで4年連続で完走しています。今年は10時間40分台で自己ベストでした。途中は非常にきついけれども、ゴールするときの達成感と感動たるや何者にも変えがたく、だから次の年も走りたくなるのです。来年は10時間以内(通称“サブテン”)を目標にしています。

ランニングを始めてからいくら食べても飲んでも体重が増えなくなりました。ランニングは1人でやるから誰にも迷惑をかけないし、特別な靴くらいで特別な道具もいらない。ちょっとした時間でできる。1分1秒までタイムが出るので、1分でも自己ベストが短縮されると嬉しいものです。練習は気候にもよりますが、早起きして毎朝5〜6キロ、時々コースを変えながら走っています。仕事に差し支えない程度に軽く走り、休みの日に長距離を走るようにしています。

自分も健康に気を付けて 今までの医療をぶれずに継続したい

開業してからこれまでを振り返ってみると、診療している時間は非常に忙しくて、昼休みも取れないこともありますが、それなりにやりがいはあります。勤務医との一番の違いは、時間外労働が格段に減ったことでしょうか。当直明けで翌日も続けての36時間連続勤務などということもなくなったし、ちょっと古いかもしれませんが(笑)、ポケットベルに拘束され、休日、夜間問わずに急患だと呼び出されることもありません。それだけでも気持ちに余裕ができました。

だからこそマラソンにも挑戦できるわけですが、仕事は仕事、趣味は趣味と割り切っています。患者さんに生活習慣病の指導をする際に、我々担当医がみるからに不健康だと説得力がないので、担当医が手本にならないといけないと思います。

これからの目標は、今までやってきた医療をこのままぶれずに継続していくこと。遺体検案や休日診療所の当番もしてますが、一人でやれることには限界があるので、それを超えないところで、できる限りのことを続けていければと思うのです。今から自分自身も健康管理をしっかりしていけば、これから先、年を重ねても地域の為に頑張れるのではないかと考えています。

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大内 健

おおうち・けん

1965年山形県山形市生まれ。1989年岩手医科大学を卒業し、内科学第一講座に入局。その後、主に岩手県内の病院に勤務し、1997年より県立宮古病院消化器内科に勤務。2006年4月に宮古市におおうち消化器内科クリニックを開院。医学博士。日本肝臓学会肝臓専門医、消化器内視鏡学会専門医、総合内科専門医、消化器病学会専門医。

 


宮古駅から徒歩で5分。交通の便と静かな環境に恵まれたクリニック


明るい日差しに包まれ、ホッとする待合室


(左)サーモンハーフマラソン
(右)さー100kmのゴールまであと10km!


東京マラソン前半のまだ笑顔のでる頃


100kmマラソンの80KM付近で耐えているところ


100kmマラソンの感動のゴール直前


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【診療科目】
内科、消化器科
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