第1回
今、行ってみたい身近なミュージアム
石神の丘美術館──岩手町
町とともに歩んで30年。雄大な自然を生かした〈花とアートの森〉
1993年に岩手県では初の野外彫刻美術館として開館した石神の丘美術館。国道4号沿いにあり、隣接する道の駅「石神の丘」とともに、岩手町を代表する観光スポットとして親しまれている。
岩手県北の美術の拠点としての企画展示のほかに、標高326mの石神山の斜面を利用した屋外美術館が人気を呼んできたが、2020年にその屋外散策エリアを全面的にリニューアルし、さらに魅力度がアップした。美術館から外に出ると、そこは雄大な自然を生かした〈花とアートの森〉。ウサギやカモシカ、シロクマなどの木彫動物が森の中で出迎えてくれたり、躍動感に満ちた彫刻作品が、清々しい風を受けて軽やかに羽ばたいている。
丘の斜面や道端には季節の花が咲き誇り、足を止めずにはいられない。「春から夏はウコンザクラ、アズマイチゲ、サンシュユ、シュンラン、原種系チューリップ、シラネアオイなど、追いつかないほどたくさん咲くんですよ」と、同館受付の松森祐子さんは明るい笑顔で話してくれた。
美術と自然を十分に楽しんだあとは、隣の産直で新鮮な野菜を買って帰る。満足感たっぷりの美術館である。
三沢厚彦
《Animal 2018-03B(カモシカ)》
原種系チューリップとムスカリ