人物クローズアップ

人物クローズアップ vol.11

小児科専門医による開院は
県北唯一。患者さんが安心して
帰れる場になりたい

ふくもりたこどもクリニック院長
福盛田 修(二戸医師会)

より身近に患者さんと接することができるようになった

一戸町にこどもクリニックを開院したのは昨年の7月16日です。開業医として出発して8カ月余り経ちましたが、充実した毎日でおもしろくやっています。

県北地区には3つの県立病院がありますが、現在はそこにしか小児科医がいない。土曜・日曜の小児科診療が手薄になってしまうことが、ここで開院する一番のきっかけになりました。その前はずっと県立一戸病院に勤務していましたし、一戸町は妻の出身地でもあるので、もともと馴染み深い土地ということもあります。

県北の人たちは温かい人柄の方が多く、ここは本当にいい町です。休日には愛車でよくドライブに出かけています。奥中山高原や高森高原など、まるで北海道を連想させるような広大な北の大地が広がり、空気も清々しい。忙しい日常の中での格好の息抜きですね。

個人病院になって、より身近に患者の子どもたちやそのお母さんと接触する機会が多くなり、良かったと思います。町の人たちも喜んでくださっていることが何よりです。「こどもクリニックではありますが、おじいちゃんやおばあちゃん、一般の人たちも「風邪を引いた」などと言って来院しますので、地域のかかりつけ医というところでしょうか。

県立病院などは午前中に受診しなければならないので、忙しい人たちや子どもを抱えながら働くお母さんは行けないこともある。うちは予約診療のシステムを導入して午後でも夕方でも受け付けていますし、日曜日も診療していますから、気軽に来院していただいてお話をして、納得して安心してお帰りいただける今のスタイルが合っていると思います。

アレルギー疾患に力を入れる隣に「すこやか病児保育室」を併設

小児科外来で診療可能な疾患は多岐にわたりますが、症状を詳しく観察し、小児科専門医ならではの良い指導と処方ができるものだと自負しています。特に私が力を入れているのは小児アレルギーと発達障害です。私自身、東北大学で免疫学を勉強して好きだったこともあり、その中でもアレルギー疾患が多いことから専門にしてきました。

最近はぜんそくとアトピー性皮膚炎の患者さんが多くなっていますが、特にぜんそくは慢性期を管理するのに吸入薬を使うことが多いので、吸入のやり方をきちんと指導したり、アトピー性皮膚炎なら軟膏の塗り方が大事なので、今は専門の看護師を1人つけて、その看護師と話し合いながら時間を割いてお母さんたちにじっくり指導するよう心がけています。

患者さんは私が一戸病院時代から診ている人も多くいらっしゃるので、高校生や大学生、社会人になってもアレルギー疾患の方は引き続き診ており、小児科といっても上限はありません。もちろん、一般診療も行っています。

病院に隣接する「すこやか病児保育室」は県北初の施設です。例えば、水ぼうそうやインフルエンザなど感染症にかかると子どもは保育所に行けなくなりますね。そんな子どもさんを朝8時から午後6時まで預かり、入室時と退室時に医師が診察し、預かっている間は看護師と保育士が常時、育児と観察をしています。

この施設は町立ですが、こういうシステムもありますよと私から町長に提言して実現しました。私が患者さんを診察してお母さんに病状をお話して預かるわけですから、この施設に関しては私が町に雇われていることになります(笑)。 インフルエンザなどは個室で対応しており、現実的には1日3人くらいしか預かることができませんが、去年は秋口から水ぼうそうがはやりましたので、仕事を休めないお父さんやお母さんたちには好評のようです。

児童発達支援センターを創設しクリニックを子どもランドにしたい

病院の建物がおしゃれですか? 設計は全部専門の方にお任せして、自分で決めたのは院内の配置と1階建てのフラットな建物にすること、壁面の色を暖色系の柔らかい色にすることくらいです(笑)。クリニックの入り口は一般用総合入り口、予防接種・健診用、感染症用に分かれています。

この先は私が力を注いでいるアレルギー疾患や発達障害に加えて、児童発達支援センターをつくりたいと考えています。既に国では各自治体で設置することを答申しているんですが、まだ取り組んでいるところはないようです。手足の使い方がぎこちなかったり、うまく友達となじめなくて1人遊びをしているなど、発達障害を疑われる子どもは保育所や幼稚園に入れないかもしれないという心配がある。そういう子どもたちを通所で預かり、友達と一緒に遊びながら集団生活への適応訓練を行って自活に必要なスキルを少しずつ身に着けさせていく。そんな児童発達支援センターをいち早く一戸町につくろうと町長に要望しているんです。

町ではこの付近にもう2軒くらいクリニックをつくり、一帯を医療モールにしようという構想もあるようです。こどもクリニックをメインに同じ敷地内に病児保育室と児童発達支援センターをつくって「子どもランド」にしていきたいというのが、私の目下の希望です。

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福盛田 修

ふくもりた・おさむ

1956年北上市生まれ。1980年岩手医科大学医学部を卒業して小児科に入局。1986年県立一戸病院小児科科長、2010年に同病院副院長。2013年7月16日に一戸町に「ふくもりたこどもクリニック」を開院。小児科専門医、日本小児アレルギー学会評議員。

 

黄と赤の看板が目印のふくもりたこどもクリニック。県北初の病児保育室が併設されている

院内も柔らかな色に包まれてホッとする

入り口は一般用、予防接種・健診用、感染症用に分かれている

〒028-5312
二戸郡一戸町字向町109
TEL.0195ー43ー3137
FAX.0195ー43ー3138
【診療科目】
一般小児科疾患、アレルギーなど慢性疾患、発達障害、予防接種、乳幼児検診
【受付時間】
月・火・木・金 午前9:00〜午後12:30、午後2:45〜午後 6:15
水・土・日 午前9:00〜午後1:00
【休診日】
祝祭日・お盆・年末年始