人物クローズアップ vol.19
組合の第一の役割は相互扶助
事業内容をよく理解していただき、
積極的な参加をお願いしたい
いわて医師協同組合 理事長
前川内科クリニック 院長
前川 滋(盛岡市医師会)
組合の事業には多くの
アドバンテージがある
私がいわて医師協同組合の理事長を引き継いでから早1年を過ぎました。今号では組合員の先生方に改めて組合設立の意義をご理解いただき、これまで以上に積極的な参加をお願いするために、組合の現況をご説明したいと思います。
ご存じのとおり、当組合は組合員の相互扶助を第一の役割として平成2年に設立されました。発足の主眼は組合員の福利厚生に置いてあり、家族及び従業員の生活面の向上、相互の融和を図ることが目的です。したがって、開業医の先生方のみならず家族や従業員も加入でき、組合員の所得補償はもちろん、損害保険や生命保険、さらには共同購買事業など多くのアドバンテージがあります。
現在、全国医師協同組合連合会(以下「全医協連」)の会員は約60団体で3万5000人余り。我々いわて医師協同組合(以下「いわて医師協)はこの中の1つであり、全医協連の団体組織として特典を受けることができるのです。例えば、火災保険、自動車保険、生命保険などは団体保険として5%程度の割引がありますから、個人で加入するより大変お得になっています。また、当組合の事業として福利厚生事業もございますが、この事業は生活面においても、結婚や年祝い、出産などのお祝い金、傷病見舞金や災害給付金の制度もあり、ワクチン接種や従業員の健康診断の一部も組合で負担しています。
特に忙しい毎日を送っていらっしゃる先生方にお勧めしたいのは、保養施設の利活用です。県外にある全医協連の施設も会員特典で利用できますし、県内にも提携している施設が数多くあります。残念ながら、全医協連の提携している県外の施設は、今までのところ、いわて医師協の皆さんはまったく利用していないとのこと。せっかくの施設なのに、まだご存じない先生方が多いのではないでしょうか。
組合員一人一人の積極的な
共同事業への参加を望む
組合のもう一つの柱は共同事業で、共同購買事業と共同リース事業があります。中でも共同購買事業は、医業経営に必要な医療用器具、材料、機器、備品などを組合で共同購入することで、より安価に組合員に供給することができますから、医業経営に欠かせない活動部門です。
医療用品のカタログ販売は、前日の午前中に注文すれば翌日には届くので、組合員の半分以上が利用しています。とても便利だと人気ですが、組合としては儲からない。これは組合員の皆さんへのサービスです(笑)。
一方、医療廃棄物の処理に関しては厳重に注意していただきたい。いわて医師協は、岩手県産業廃棄物協会が格付けしているAランクとBランクの上位7社と提携しています。どの業者に処理を委ねるのかは自由ですが、もし不法投棄などがあれば、法の改正により私たち医師にもペナルティが課される。そういうことにならないよう、信頼の置ける提携業者を選んでいただきたいと思います。
協同組合の事業の発展はあくまでも活発な経済的共同事業の推進によって達成されるものですから、組合員一人一人の積極的な共同事業への参加を改めてお願いしたいと思います。
協同組合の事業を発展させ
未来永劫、継続していきたい
いわて医師協の現在の組合員数は590人と、最近は減少傾向にあります。その背景には医師の高齢化や後継問題もあるでしょう。岩手県内では医療機関の40%が盛岡周辺に集中し、依然、医師不足に悩む地域が多いことも大きな課題です。
厳しい医療制度の中で、開業医の先生方は24時間態勢で頑張っています。組合員は増えていないけれども、当組合の収益は少しずつ上がっており、5年前からは組合員に対して10%の配当をお支払いしています。これは大いなる利点であり、これからもドクターの苦労が少しでも報われるようメリットのある商品を選択して、経営のプラスになる財源を確立していかなければなりません。私は全医協連の理事も務めていますので、いい仕事があれば積極的にいわて医師協でも導入したいと考えています。
いわて医師協も変革の時期を迎えており、もう一皮むけないと収益を上げることはできない。そのためにも、理事各位には、各支部医師会の未加入会員に組合事業への積極的な参加を進めてくださるよう、一層の努力をお願いしたいと思います。
私は盛岡市で開業して36年になります。開業医の先生方の医療環境が少しでも良くなることが一番の願いです。前々理事長の小野寺弘之先生からも、前理事長の眞瀬静先生からも受け継いだ「医師協を絶対になくしてはならない」という言葉を私の使命とし、組合の事業を発展させて未来永劫にわたり継続していきたいと思っています。
まえかわ・しげる
1947年盛岡市生まれ。1973年に岩手医科大学医学部を卒業し、1977年岩手医科大学大学院を卒業。1980年に盛岡市新田町に前川内科クリニックを開院。医学博士。1995年にいわて医師協同組合の理事となり、常務理事、専務理事を経て2015年7月より理事長に。現在、全医協連の理事も務める。2014年藍綬褒章受章。
総会で挨拶する前川理事長
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前川内科クリニック
〒020-0042 盛岡市新田町9-11
TEL.019-624-3313
FAX.019-626-0373
【診療科目】
内科、循環器科、胃腸科、呼吸器科、神経内科
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日曜・祝祭日