地区だより(18)
けったら、く
マルカンデパートの「鉄火丼」
花巻市医師会 宮内 茂壽
鉄火丼
およそ花巻市民であれば、否市民でなくとも、花巻市上町のマルカンデパートの大食堂(誇張ではなく、ホントに大食堂であります)を知らない人は、まず居ないと思います。東北の一地方都市のデパートの食堂でありながら、全国ネットのテレビ放送で、たびたび取り上げられ、今や、この名前は全国区でさえあるとのこと。特にマルカン食堂の一番の名物は、高さ(長さ?)が20以上もあり、割りバシで食べるソフトクリームが有名です。何でも、これだけを目的に、貸切バスで訪れる団体客もあるとの事。大きさだけでなく味も濃厚で、おいしいと小生は思いますが、今回のテーマは、これではありません!
「鉄火丼」が今回の主人公です。どこにでもあるマグロの刺身が、酢飯の上に乗っているアレです!と書けば「そんなんでは、特記事項には当たらない」との声も聞こえて来そうですが、ちょっと待った!! 鉄火丼は鉄火丼でもただの鉄火丼ではないのです。これもハシで食べるか? 勿論です!! が、はしからでも真中からでも、どうぞお好きな場所からハシをつけて結構ですよ! と言いたいところですが、なかなかハシが付けられません。と言うのは、上から眺めると(普通は、こうですよネ)、ごはんが全く見えない!! しかもこのマグロ、長さ15cm以上(勿論ひときれでです〜実測済み〜)もあり、器の上だけで納まり切れず、器の外側にも3〜4cm(これはその時々の状況により異なる)ハミ出していて、今にもテーブルに接触しそうな程……。これが7切れも!!
さーて、どこから手(正確にはハシ)をつけるべきか? しばし思案の末、以下の方法をとる事に決定、以降小生はこの方法を続けています。
(1) 一番手前のマグロをお新香(たくあん2切れ)の上に置く。小皿なのでそのままでは当然、小皿からハミ出すし、物理的にも不可能。このままではダメなので、マグロの刺身を三ツ折りにする。
(2) もう1枚、同様にして計2ケの刺身を、たくあんの上にセット。こうすると、これまでマグロにかくれていて、全く見ること出来なかった細切りの海苔がのっているシャリに御対面! この動作をくり返し、シャリの面積を拡大していく。時々は、一緒についてくるお吸い物も、ススる。これは熱々のものが運ばれてくるので、手元に届いたらすぐに椀のフタを取る。さもないと、陰圧でフタが取れず、飲みたくても飲めず、正に「身もフタも無い」状態に。口のやけどを防ぐためにも、やや冷却すべし。更にデザートとしてプリンもしくはゼリーもついてくるが、小生は冷や奴に替えてもらっています。純和風の鉄火丼に、洋風のプリンはどうみても不似合いです。(主観です。小生の……)そこでこの冷や奴ですが、木綿どうふで美味です。半丁程の大きさで、これだけでも充分、食べ応えありです。勿論、大きな湯のみのお茶も美味です。
マグロがはみ出しています。
やや遅めの昼食を、昭和の面影が残る大食堂の騒音の中で、ゆっくり頂く、これも至福のひとときです。スタッフの動きを見るともなく眺めていますが、皆さん動きがキビキビしていてムダがなく素晴らしいのひと言です。“よくまあ、ぶつからないで、スピーディーに出来るなぁ…”これも主観です。
石川啄木の歌に曰く「〜人混みの中に、そを聞きに行く」の心境そのものです。1,000円出して、心も胃も満たされる。そんな気持ちにさせてくれるマルカンデパート大食堂の「鉄火丼」でした。
参考:昭和35年 元の北銀の場所に設立
昭和48年 現在地に移転
大食堂の座席数 580席
メニュー数 240種(全て調理可能と)
鉄火丼:価格 1,000円(税込み)
(現在は、1,100円(税込み))
※この記事は「医報はなまき」410号(平成27年2月)に掲載されたものを、編集部の許可を得て、一部再編集のうえ再掲しました。