第2回
認知症と生命保険を考える (2)
SOMPOひまわり生命保険株式会社 岩手支社長 伊藤 一洋
皆さまこんにちは。SOMPOひまわり生命の伊藤です。今回のコラムでは、前回に引き続き、認知症と生命保険について皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
認知症との「共生」・「予防」
本年6月に、政府は認知症対策をより強化するため、新たな「認知症施策推進大綱」を関係閣僚会議で決定しました。この新大綱は、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を期限としたものですが、2つの柱を両輪として取り組むこととしております。一つは、認知症の人の尊厳が守られ、自分らしく暮らすことのできる社会を目指す「共生」と、もう一つが、今回のコラムでスポットを当てる「予防」です。
新大綱における「予防」とは?
それでは、新大綱の柱の一つである「予防」について考えてみたいと思います。
皆さまは「予防」と聞いてどのようなことを頭に思い浮かべますでしょうか?恐らくは「認知症にならないこと」=「予防」と考えてしまうのが一般的だと思います。
しかしながら、この新大綱では、そもそも認知症は「誰でもなりうる」ということを前提としているため、「予防」を「認知症の発症を遅らせる」、「認知症の進行を緩やかにする」と定義しているのです。
本年5月時点での素案では、70代での発症を10年間で1歳遅らせるという「予防」の数値目標も盛り込まれていたようです。6月の発表時点でこの目標は参考値に格下げとなりましたが、数値自体に明確な根拠が無いということもあり、参考値にとどめたことは妥当な判断なのかもしれません。
認知機能の低下の具体的な予防策
それでは認知機能低下の予防策について、具体的に考えてみたいと思います。
ポイントは、『運動・食事・脳のトレーニング』です。こちらについては、朝田教授監修「認知症ケアブック(当社作成)」に基づいて説明させていただきます。
※次の【予防@〜C】は認知症ケアブックを引用しています。
予防@ 運動で脳を活性化
手足の筋肉を動かすための神経は脳と結ばれているため、運動をすると、脳が活性化します。
「有酸素運動がおすすめ」
ウォーキング、水中運動、サイクリングなどの有酸素運動を、人とおしゃべりができる程度の速さで続けると、全身の血流がよくなります。1日30分の運動を週に3〜4回行いましょう。
「身近な運動機会を活用」
ラジオ体操に参加したり、自然観察会や山歩き、史跡巡りなどの同好会に参加するのもよいでしょう。
予防A 魚介や野菜が豊富な食事を
「和食が認知機能低下予防に」
肉や卵などのたんぱく質が豊富な西洋風の食事より、日本の伝統的な食事が認知機能低下予防に適しているといわれています。
「DHA、EPAが豊富な魚介類」
魚介類、とくにイワシ、アジ、サバなどの青魚やサケに豊富に含まれているDHAやEPA(n-3系)の脂肪は、脳の情報伝達をスムーズにします。
「緑黄色野菜、果物」
野菜や果物を食べることも重要です。野菜や果物にはビタミンC、E、ポリフェノール類などの抗酸化物質が豊富に含まれており、認知症の発症リスクを軽減すると考えられています。
予防B 2つのことを同時に行う脳のトレーニング
「知的活動を続ける」
キーボードやギターを弾く、本を読む、旅行をする、トランプ・パズルなどのゲームを行うなど、知的活動を行うほど認知症のリスクが減少するという報告があります。
「デュアルタスクで脳の活性化」
近年注目されているのがデュアルタスクです。2つの異なることを同時に行うことで、脳を活性化させます。
(例)
- ウォーキングしながら引き算
- ラジオ体操をしながらしりとり
「身近な動作で脳の活性化」
手順を考えながら手を動かし続ける料理などは、身近な脳のトレーニングの代表といえます。散歩しながら俳句をつくるのもよい方法です。
予防C グループで行う脳のトレーニング(交流活動)
認知機能低下予防のための取組みは根気も必要です。そんなときは一緒に頑張る仲間がいると長続きします。専門クリニックやデイケア施設、自治体などが設立している “認知症カフェ”などでも脳のトレーニングのためのエクササイズが行われています。施設を探したいときは、まずは地域包括支援センターに相談しましょう。
皆さまいかがだったでしょうか?
「なる前が大事。」なのが認知症、ここに記載した運動・食事・脳のトレーニング等の適切なケアを、バランスよく続けていくことが大切なことなのかもしれません。
SOMPOひまわり生命『笑顔をまもる認知症保険』
高齢化社会の日本が直面する認知症という大きな課題に対し、新大綱では我々民間の保険会社に対しても「認知症の発症に備える」という意味で、新たな保険商品の開発が求められております。
SOMPOひまわり生命では、昨年10月に『笑顔をまもる認知症保険』を発売しました。この保険は、保険そのものの機能であるご加入者の経済的な負担を軽減[発症に備える]することはもとより、付帯サービスである「SOMPO笑顔倶楽部(運営:株式会社プライムアシスタンス)」の活用により、認知症発症前の認知機能低下の予防取組み[予防]を支援します。
「なる前」から保障する
『笑顔をまもる認知症保険』
この機会に、ご家族の皆さまとご検討してみてはいかがでしょうか。