私がパソコンを始める・・・と云い出すまでには私なりの潜伏期間がありました。
以前家族で 「これからパソコンを持たなければならない時代だろう。 孫が中学生になったら買い求めてみんなで勉強をしよう。」
とか、 「あまり動けなくなったらインターネットを楽しもう。」 とか、 パソコンの何たるも知らず話し合ったことがありますが、
「そんなものは我々の世代には必要ないと思う。」 と拒否していました。
さて始めるといってもどう行動してよいか見当がつきません。
中高年がパソコンを覚えようと思ったら多少うるさがられても常に手助けしてもらう人が必要とのアドバイスを受けました。
そこで必死で周囲を見回したら灯台もと暗し%舞のお稽古でいつも時間帯を同じくする人が、
私の密かに敬愛するキャリアウーマンであることに気が付いたのです。
「おねがい!おねがい!」 と拝み倒しパソコンの購入、 設置、 パソコン教室の選択、
予習復習のお世話をいただくことになりました。
パソコン教室は一時間の教習用ビデオを見ながら指示された通り操作していきます。
理解できないところはビデオを一時停止させて待機しているインストラクターの人に助けを求めます。
私以外の生徒さんはみなベテランと見受けられ、 パソコンに向かい、 時折パチパチと軽やかにキーボードの音をたてています。
機会に弱い私はインストラクターさんに 「お願いします。」 「お願いします.」
を連発。 一時停止ばかりしているので時間オーバーしてしまいます。
ビデオの先生は関西訛りでにこやかに語りかけます。
「僕の教室の生徒さんの最高年齢は九二才のおじいちゃんです. 勉強を始めるのにトシは関係ありません
。 ―少し前まではパソコンを覚えてなんぼのものや、 と生きがる風潮もありましたが、
これからは国民すべてがパソコンが出来なければダメ!ダメ!僕のビデオの前に座っているあたな!あなたは勇気ある挑戦者です!」
と煽てられ、 遅ればせながらパソコンに向かって悪戦苦闘をしているところです。
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