我が家のペット

宮古医師会 さかもと眼科クリニック 坂本 真栄

我が家の二匹の猫を紹介します。

茶色の大きい子は、雄のプリンス君、さび色の小さめの子は雌でロマンスと言います。二匹とも、この春で四歳になります。

我が家は沿岸宮古市の閉川河口にあり、あの震災で自宅、診療所とともに全壊しました。その時飼っていた二匹の猫も流されて、とても悲しい別れをしました。助けられなかった自分には、もう猫を飼う資格などないとも思ったのですが、震災の慰霊祭の折、飼い主を失って震えていた二匹を連れ帰ってしまいました。茶色の雄はとてものんびり屋で、誰にでもついて行ってしまうほどの愛想よしですが、さび色の雌はこれまた格別の怖がりで、嫁さん一人の時しかエサも食べられない程。飼って四年になる私にも体に触らせてくれません。夢は一緒にお昼寝ですがとてもかないそうにはありません。

よく猫はその自由なところが魅力と言われますが、もちろんそれはその子の性格にかなりよるところが大きいと思います。雄のほうは、私の姿を見かけるとその大きな尻尾をピンと立て甘えた声と美しいしぐさで寄ってきます。トイレも入浴もどこにでもついてくるほどです。しかし雌の方は全くと言っていいほど尻尾を立ててくれることはなく、その思いのほか可愛らしい声も聞かせてくれることはありません。同じように怖い思いをして、保護されてもかくのごときの違いは、やはり、性格?個性のなせる技なのでしょう。何はともあれ、この二匹と生きていこうと思っています。

この震災で、辛い飼い猫との別れを経験して私はあることを知りました。三つ子の魂百まで、一度野良になった子はなかなか手ごわいと聞いていましたから、一緒に暮らす猫や犬との出会いはペットショップかなとずっと思っていたのです。しかしそれ以外にも、出会いがあることを知りました。空前のペットブームの中、人間の子供並みに大切にされている動物たちがいる反面、本当にたくさんの命が人間の手で葬られていること。生体展示販売がもたらす暗い事実。この矛盾と戦う人たちのささやかな活動。

大切な命と別れ、悲しみと思い出の中に生きる人が、もし次の命を迎えようと思ったとき、この保護動物たちとの出会いを選択肢に入れていただけたらと思います。

この出会いの奇跡を感謝している飼い主の心も知らず、今日も我が家の二匹はのんびりと毛繕いをしながら四度目の春を過ごしています。

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プリンス君とロマンス
プリンス君とロマンス

プリンス
プリンス

ロマンス
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