特集

「生命保険を科学する」

ドクターの陥りやすい落とし穴(6)

〜生命保険のコストダウンについて〜

株式会社インシュアランス・ラボラトリー 
代表取締役 佐 藤 正 彦

 今回は、生命保険のコストダウンについて、お話しましょう。
 “開業時に大きな借り入れをしたから”、“資金に余裕ができてきたので終身保険に”、 “法人化したから節税目的で”、“家族のみんなも十分な保険を”、“相続対策が気になるので”等々、 いつの間にか生命保険は重ねて加入しているものです。金融商品の中で無駄が多いのも生命保険の特徴です。

■なぜ、 生命保険に無駄が多いのでしょうか?

 金融商品は金融機関によって大きく分けて3つに分類できます。銀行が扱うもの、証券会社が扱うもの、保険会社が扱うものです。 現金の殆どは、この3つの金融機関のどこかに入れていることになるでしょう。
 無駄があるとしたら、そのどこでしょうか?銀行は決済に利用するほか、流動性のある預金や元金保障の確実な預金が目的でしょう。 証券会社には困ってしまうほど大きな額は預けないでしょう。では保険会社はどうでしょう。 保険会社には2種類あります。損害保険と生命保険です。損害保険は1年に1回更改手続きがありますので、 自動車保険や火災保険などどのようにどんな保険に加入しているか確認が取れます。 生命保険はいかがでしょうか?一度加入してしまいますと、見直す機会は殆どないままに口座から引き落とされています。 生活が困るほどの保険料ではありませんので、気付かないままになっていることが多いようです。 これが、生命保険が生活習慣病に例えられる理由です。

■コストダウンを考える時期ってあるのでしょうか?

例えば、
  @開業資金借入れの返済が完了した。
  Aお子様が無事医学部を卒業し、高額な教育支出がなくなった。
  B医療機器のリース料支払いが終了した。
  Cタバコを止めてから1年以上が経過する。
 このような時には、保険料のコストダウンを図れる絶好のタイミングといえるでしょう。 保険をそのままにされている先生をよくお見かけしますが、カバーすべきリスクの減少・消滅により、保険の必要性も変わってきます。
 せっかく、資金的に余裕ができたり、リスクが減少した場面ですので、是非見直しをしてみてください。 たとえ月々5万円をコストダウンできたとしても、年間60万円。10年で600万円、20年あれば1,200万円もの資金を作ることができます。 さらに、この資金を毎月運用に置き換えたとすれば、さらに1.5倍〜2倍にできる可能性もありますね。 老後の資金としてとても大きな違いとなってしまいます。

■保障の形を変えることでのコストダウンも可能です。

 《保障の形》を変えることで、コストダウンも可能です。前にもこのコラムで書きましたが、家族への経済的保障であれば四角形の保険ではなく、三角形の保険が合理的です。 保障の形が三角形になるだけで、面積も半分になりますので保険料も約半分になってしまいます。 さらに、タバコをやめられて1年以上が経過していれば、非喫煙料率を使えることが殆どです。約20%くらい安くなります。
 また、ドクターは終身保険を勧められることが多いようです。貯蓄性もあり、支払った額より多くの解約返戻金が貯まる。 しかも一生涯の保障である。というのがお得な感じを生んでいるようです。が、以下の点にご注意ください。

ポイント

 ・・・ということは、保障は掛け捨ての安価な定期保険でしっかりと、貯蓄は運用でがっちりとというほうが、効果的な場合が多いようですね。 もちろん、終身保険のすべてに当てはまるわけではありません。言葉たらずな部分もありますが、お伝えしたかったのは終身保険がいいとか悪いとかいうことではなく、 目的に合わせて視野を広くすると、無駄も見えてきますよ、ということです。 今後、医業収益を大幅に拡大したり、収入を拡大することは今までより難かしくなると予想されますので、是非一度生命保険も健康診断してみてください。 私どももお手伝いさせていただきます。

 次回、特集は
 「陥りやすい落し穴その7〜ドクターの生命保険の見直し時期って?!〜」

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