いわて医師協同組合セミナー
時 間 | 平成19年11月10日(土) 午後2時 |
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場 所 | 岩手県医師会館3階「視聴覚室」 |
「ドクターのための確定申告」
〜税務対策と税務調査の実例〜
税理士 楢 山 直 樹 氏
始めに、眞瀬理事長より挨拶があり、講演は楢山先生が作成された小冊子を使用して行われた。小冊子は、非常に分かりやすい内容に編集され、ご労作であると感じた。
(要 旨)●確定申告の基本
@日本国憲法第30条・・・「国民は納税の義務がある」
納税と考えず、会費を納めるという感覚で
A青色申告と白色申告の違いは
簡単な違いは、申告書の色が違う。中身はかなり違う。
- 青色申告は奥様の働きに応じて専従者給与・ボーナスを取れるが、白色申告は 配偶者が幾ら働いても80万円、家族は50万円まで。
- 青色申告では赤字が出ると個人では3年間赤字を引ける。法人では7年間。白 色申告はその年だけ。
- 青色申告は、帳簿をきちんと付けることで、青色申告の特別控除65万円受けられる。
- 高価な医療機器を購入した際に、減価償却より有利な特別償却という特典もある。
- 保険診療の未収金を貸し倒れ引当金としての経費を計上できる。
- 原則10万円以上は資産として原価償却し、20万円未満が3年で償却して良いと のことだったが、今回からは30万円未満は小額の減価償却資産として1回の経 費としてよい。
- 税務調査に入られた場合、間違いがあった場合は修正申告。それ以外は税務署 から更正決定が出るが、それに対して異議申し立てができる。
B所得税に10種
- 利子・・・銀行の預金利息は2月、8月に付きます。
- 配当・・・株の配当
- 不動産・・アパートとか駐車場
- 事業・・・医業による所得
- 給与・・・源泉徴収票が出されるもの
- 退職・・・個人事業者の場合、退職金は出ないが医療法人化されていれば出る
- 山林・・・山の木の売買で得た所得
- 譲渡・・・土地、建物を売った場合、
- 一時・・・医師の講演料とか
- 雑・・・・上記以外
〈医業における事業所得?〉
計算式は単に 事業所得=事業収入(保険収入+雑収入等)−必要経費
〈必要経費とは?〉
定 義
収入を得るために直接・間接に要した費用、その他業務上の費用を言う。
- 事業関連費、個人的な経費(家計費等)の混入に注意
- 正しい判断基準をもつこと
- 個人医院は、青色専従者給与の妥当性をきちんと説明できること
- 医療法人は、理事報酬の妥当性をきちんと説明できること
経営から考えると事業収入を増やすこと、税の面から考えると事業収入を減らして必要経費を増やすことであるが、 所得税+住民税の税率は50%が上限なので、収入が増えても税率は変わらないため事業収入を増やす努力は意味がある。
〈節税とは?〉
合法的に利益を少なくすることをいう。12月末までに出来ることはきちんと行い、申告の時に備えることが必要。 1,2月に何かしようとしても法に触れるようなことになる。調査官も眼は厳しいもので直ぐにバレ、調査官の点数は100点満点ということはない。 どこかに多少なりとも問題点があることは覚悟しなければならないが「次回には改善しておいて下さい」という場合は、 合格点に近く、税務上の専門用語として「指導に止めおきます」ということになる。 脱税は仮想隠蔽となり「重加算税」が課される。過少申告加算税は本税の10%だが「重加算税」は35%。
次いで青色申告決算書・所得税申告書等の詳細の説明があった。耳寄りなお話として「小規模企業共済」について説明があった。
〈小規模企業共済について〉
医療法人の先生は入れませんが、個人開業医は加入できる。
個人医院長が自分で掛ける退職金制度。従業員は中小企業退職金共済、小規模企業共済はあくまでも院長先生がご自分のために掛ける退職金で、
月額最高7万円を掛けることができる。年間84万円。42万円の所得税・住民税がお得になる。10年間で420万円、20年間で840万円の節税になる。
膨大なお話しの内容で、小生には理解できない部分もあり、文章の内容にも自信が無い。 ご不審なところがある場合は、いわて医師協同組合に問い合わせてください。1回で理解できるものではなく、 もう少しパートを区切って何回かに分けて聞く必要があると思えた。
「ドクターのための生命保険活用術(要旨)」
代表取締役 佐 藤 正 彦 氏
医師の皆さんは金融機関にとりましては非常に特別なマーケットとみられておりまして、
ご家族の分も数えますとかなりの数の保険に加入していることがあります。
それで医師の方々からのご相談も多いのですが、誤解していることがあります。
せっかく加入している保険が、保険本来の役割を果たしていないという場合があります。
生涯で購入するもので大きなものは不動産ですが、2番目は生命保険であります。
生涯に渡っての掛金は膨大なものになります。
大事なことは、漫然と付き合いで加入する時代ではなく、保障額、保障期間が重要です。
人生設計のなかで妥当な金額はいくらかということです。どの年齢で不幸な転帰をとるかで考えることです。
最近は家族収入保険がありますが、従来の保険と違って月額3分の1位で済みます。
ここ数年前からリスク分散の保険が出まして、非喫煙者で健康体の方は保険料が安くて済みます。
生命表の見直しで最近は15%位安くなっております。保険期間の終身保険が出てきましたが、
70歳までの定期保険は保険会社に「75歳まで伸ばしてくれ」と言えば許可されます。しかし、この条項を利用された方はみたことが無い。
というのは保険会社の支払いについて請求によりなされるわけです。請求漏れが多いわけです。
契約者が知らないことが多いわけです。原因は保険を販売している側も知らないからです。
欧米では必ず必要な機能なので説明が義務付けられています。
この機能は何処の保険会社、保険でもあるわけではないので、ご確認ください。
あきらめないで良く検討してみてください。保険の一覧表を作成して検討することも必要です。
付き合いで加入し重複している場合もあります。
いわて医師協同組合でも一覧表の作成についてご相談を受けておりますので、お申し付けください。
非常に興味深かった。私も付き合いで生命保険に入らされていることもあるが、残念なことに内容については無頓着である。 老眼でもあるしコマイ文字は見にくいし、良くみたことがない。見直しが必要であると痛切に感じた。