全国医師協同組合連合会
第33回通常総会 |
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日 時:平成17年10月30日(日)午前9時30分より
場 所:品川プリンスホテル |
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定刻、渡辺兼司常務理事の司会で開会。
永井龍行会長から「今後の医療環境は更に厳しくなる。今こそ日本医師会とは表裏一体とも言うべき医協の果たす役割は大きい。会員の役に立つ商品と情報を提供することに大いに力を発揮すべきである(要約)」と力強いご挨拶があった。
組合表彰に移り、福祉部関連で岐阜県、名古屋、神戸、和歌山県、沖縄県の5組合が購買部関連では蒲田、神戸、和歌山県、下関、大分市の5組合が表彰された。広報関連で高知医師協同組合の福留正郎先生、いわて医師協同組合の菅原克郎常務理事が表彰された。
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東京都医師会唐澤祥人会長(代読:東京都医師会大橋克洋理事)、全国中小企業団体中央会佐伯昭雄会長(代読:瀬戸実総務部長)より祝辞があって、木住野幸二全医協連副会長を議長に選出、議案審議に移った。
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第一号議案: |
平成16年度決算関係書類の承認を求むる件 |
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第二号議案: |
平成17年度事業計画案並びに収支予算案の承認を求むる件 |
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第三号議案: |
平成17年度賦課金決定の件 |
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第四号議案: |
平成17年度借入金最高限度額決定の件 |
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第五号議案: |
平成17年度役員報酬の件 |
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第六号議案: |
定款一部変更について承認を求むる件 |
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第七号議案: |
役員任期満了に伴う選任の件 |
全議案とも出席者多数の賛成で可決された。
引き続いて、今期で退任する渡辺兼司常務理事を初めとした8名の役員の先生方に感謝状と記念品を贈呈し、退任の役員を代表して7期14年間務められた渡辺常務理事から、いつに変わらぬ軽妙洒脱な御礼の挨拶があった。そして、長い間全医協連の発展を影から支えてきた小西英夫事務局長も退職ということで感謝状と記念品が贈呈され、小西事務局長から挨拶があった。司会に戻った渡辺常務理事が「小西事務局長に対しては退任する役員より大きな拍手である」と述べたほどの拍手が会場から湧きあがった。
退任された先生方に代わって就任された8名の先生方が登壇され、おひとりおひとりから力強い就任のご挨拶があった。尚、今通常総会で眞瀬理事長が常務理事に選出されている。
次いで、来年の通常総会開催地の徳島医師協同組合の川島周理事長から「多数の参加を歓迎する」とのご挨拶があり、木住野副会長の言葉で閉会となった。
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特 別 講 演
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日時: |
平成17年10月29日(土)午後4時 |
場所: |
品川プリンスホテル |
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演題T 宇宙開発と創薬・医療技術のかかわり(要旨) |
講師 | 宇宙開発事業団宇宙基幹システム本部 |
| 宇宙環境利用センター技術領域リーダー |
小 林 智 之 氏
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まず宇宙について考え、次に宇宙開発の経緯について、最後にメインテーマについてお話します。
この壮大な宇宙に宇宙人の存在が色々話されているが、文明の存在する惑星を想定した宇宙文明方程式によれば、現時点では文明の証である通信技術を持つ生命体は存在しない。しかし、この地球の文明が数千万年よりもっと長く続くことがあるとするならば、我々とは違った形の生命体が宇宙に存在すると確信を持って言える。
歴史的にみると宇宙に対して、ライト兄弟が空を飛んだ同じ頃にロシアの物理学者ツィオルコフスキーが反動装置を利用して宇宙空間を移動できるという論文を発表。この理論を元にロケットが開発され、ドイツが第二次世界大戦で兵器として実用化した。戦後、米ソにこの技術は引き継がれ、両国の威信をかけた開発に邁進することになった。エレクトロニクスの進歩、機材の軽量化等の科学技術の発達により、大型ロケットが開発され、弾道ミサイル等の兵器とともに平和利用としての人工衛星、宇宙船を軌道に正確に乗せる技術を確立、無重力の宇宙への旅立ちは新しい発見をもたらした。これら一連の宇宙開発は莫大な資金・人材・技術力を要し、国際協力が不可欠であり、特に経済大国日本の協力は欠かせない状況である。日本でも「希望」と命名した宇宙ステーションを2008年までに打ち上げる予定であり、宇宙空間での長期滞在対策、健康管理、放射線被爆対策など様々な問題を調査・研究し解決の糸口を見出そうと考えている。
第三次基本計画の中で最重要点は、無重力の中で高品質のたんぱく質の結晶を作り、高度の分析技術を駆使してその構造と機能を解明することである。私共は、5回のソユーズを利用して作った結晶で三次元の立体構造を解析、たんぱく質の分子構造を解明、たんぱく質の活性部位を特定し、これらの知見を元にシュミレーションして次世代の創薬の開発、疾病の原因究明等の多面的な医療技術の研究が可能になると確信しています。
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演題U 「国会活動報告(要旨)」 |
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この度の総選挙に至るまでの経緯と選挙後の政治環境の変化についてお話します。
小泉内閣は、発足当初からトップダウンの政策決定で指導力を発揮しようとして様々な試みを行なってきたが、旧弊な伝統的手法である話し合いで政策決定をするいわゆるボトムアップの考え方を容易には変えられずにいた。しかし、この度の総選挙の大勝利でしてから政治環境は激変しトップダウンの政策決定が可能な状況になった。その結果、郵政事業の次は社会保障、なかでも医療制度改革が大きな流れとなってしまった。
このような中で厚生労働省は10月19日に医療制度構造改革案の骨子を発表した。
T.医療費の伸びの抑制
- 長期的対策:医療費適正化(5年計画)の政策目標を掲げ、医療費を抑制する。
- 短期的対策:公的医療保険の給付範囲を見直し、診療報酬の適正化。
これらの政策を今後検討し年末までに具体的な対策を決定する。
U.医療保険制度体系の見直し
- 都道府県単位の保険者の再編・統合
- 新たな高齢者医療制度の創設
- 混合診療への対応、中医協の委員構成の見直し、ITの活用による効率化
我が国の厳しい財政状況で持続可能な医療保険制度を考えるという意味では、一応は理解するものの、厚生労働省には国民の健康保障を確実に守っていくという基本理念が全くみられず極めて残念に思っている。
10月20日、参議院・厚生労働委員会において「医療制度構造改革試案」について厚生労働省に質問した。議事録に沿って説明すると、
- 医療給付費の伸び率管理について
- 患者負担の引き上げに伴う受診行動の影響について
- 保険免責制度について
- 公的保険給付の内容・範囲・理念の見直しについて
- 保険医療の基本理念・高齢者のGDPについて
- 政管健保の評議会について
- 保険者の一元化と効率的な健康づくり事業について
- 都道府県医療適正化計画について
- たばこ課税について
- 生活習慣病の予防と財源について
以上を質した。
結局、武見先生の精力的な行動も実を結ぶことが無く、11月29日に「医療制度改革大綱案」が提出された。改革とは名ばかりで実態は改悪である。
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【懇親会】
10月29日(土)午後6時30分から、メインバンケットホールで249名の参加により盛大に開催された。永井会長の開会挨拶の後、日医・野中博常任理事より植松治雄日医会長の祝辞がご披露され、続いて西島英利参議院議員のご祝辞があり、今回の衆議院議員選挙で当選された清水鴻一郎全医協連理事の乾杯の音頭で開宴。楽しい時を過ごし、小林照尚専務理事の閉会の言葉でお開きとなった。
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