保険に関する豆知識シリーズ(4)
生命保険を選ぶ基準について
〜長期療養資金を考える〜
(株)リスクマネジメント・ラボラトリー
北海道・東北本部長 渡辺 徹
今回は先生が病気やけがでお仕事ができなくなった場合の『長期療養資金』について考えてみたいと思います。
前号でも述べましたが、死亡保障を目的とした生命保険に加入していると、ご主人が万が一亡くなった場合はご家族がまとまった保険金を受け取り、その後の生活資金に充てることで経済的なダメージを埋めることができます。
ところが、病気やけがの種類によって治療が長期にわたる場合は、高額療養費制度(健康保険の被保険者で自己負担が高額になった場合、一定の額を超えたものは保険制度から払い戻される)で治療費の負担は軽減されるものの、収入は途絶え、一方で住宅ローンや医療機器等のローンなどが残っている場合は、支払いを継続しなければならないというダブルパンチの状況に陥ります。また、職員さんの当面の給与をどのように手当てするかも考慮する必要があります。
これらの問題を解決するための「保険」とそれぞれの機能について下記のとおり整理してみました。
医療保険
◆病気やけがで入院された場合の保険です。
●主な保障内容
- 入院給付金:入院給付金日額×入院日数
- 手術給付金:(例/入院日額の10倍・20倍・40倍)
- その他、生活習慣病や女性特定疾病を手厚く保障する特約、3大疾病にかかった場合、保険料が免除される特約などがあります。
◎保険選びのポイント
- 支払い限度日数(1回の入院・通算入院)
最近は1入院60日・120日、通算1000日のものが主流です。 - 何日目の入院から対象になっているか
日帰り入院から保障されるものが主流です。 - 手術給付金が日帰り手術に対応しているか
最近は大腸ポリープ手術等の日帰り手術が増加しています。入院を伴わない手術にも対応しているかどうかご確認ください。 - 保険期間と払込期間
終身タイプでも払込期間を終身にして解約返戻金のないものを選べば割安な保険料で加入することができます。 - 先進医療特約が付加されているか
最近発売されている医療保険やがん保険には先進医療特約を付加できるものが増えています。現在、粒子線治療に代表される先進医療は保険外診療となっており、例えば、肺がんで重粒子線治療を受けた場合の技術料は約308万円(厚生労働省「第27回先進医療専門家会議資料平成20年3月12日)と言われています。先進医療特約を付けていれば保険会社によりますが、1000万円までの範囲で技術料の実費が支払われます。しかも特約保険料は医療保険で各社100円/月額前後と大変リーズナブルになっています。
所得補償保険(損害保険)
◆入院の有無に関わらず、就業不能(約款上の規定に基づきます)の状態になられた場合に、申込み時に定めた先生の収入を補償します。
●お支払い例(損保ジャパン・東京海上日動火災)
- 所得補償保険(補償期間1年)+入院初期費用担保特約にご加入の場合
保険金/月額200万円の所得補償保険にご加入の先生が5ヶ月間病気で入院した場合。
保険金…200万円×5ヶ月=1000万円
※オプションで団体長期障害所得補償保険・代診費用特約等を付加することができます。
がん保険
◆「がん」は日本人の死因第1位ですが、治療その他に多額の費用がかかるため「がん保障」に特化した保険です。「がん」はもはや不治の病ではなく、治すための対策を考える時代になってきたと言えます。
●主な保障内容
- 診断給付金:がんと診断確定されたとき一時金として受け取れます。
- がん入院給付金:入院給付金日額×入院日数
- がん手術給付金:約款所定の手術を受けられたとき受け取れます。(例:入院給付金日額の20倍)
- がん通院給付金:がん治療のために通院されたとき(通院給付金額×通院日数)を受け取れます。
- 先進医療給付金:がんの診断や治療で先進医療を受けたとき、一時金や実費が所定の範囲で受け取れます。
◎保険選びのポイント
- 診断給付金の額
通常は入院・手術の有無に関わらず給付されますので、がん治療を開始するにあたり、まとまった一時金があって大変助かったという声をよくお聞きします。また、上皮内がんの場合は給付金が1/10あるいは1/2となる商品もありますのでご確認下さい。 - 診断給付金を受け取れる回数
1回のみ給付されるという商品と何回でも給付される商品があります。なお、何回でも給付される商品には2回目以降は入院を伴う治療に限定されたり、前回の給付から2年以上経過している等の条件がつくことがあります。 - 支払い対象となる手術の種類
放射線照射や温熱療法、ファイバースコープによる手術の場合は60日に1回などの条件がつく場合があります。 - 先進医療特約の付加と給付内容
治療内容により実費の上限が定められているケースがあります。 - 保険期間と払込期間
終身タイプでも払込期間を終身にして解約返戻金のないものを選べば割安な保険料で加入することができます。