特 集 |
環境とこれからの医療活動
環境カウンセラー 五ノ井 稔 |
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V 医療と廃棄物(続)
1.はじめに
前回 平成16年3月に改正された、「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物マニュアル」について、概要について報告しましたが、今回内容を変更して、排出者(医療関係機関等の感染性廃棄物の排出事業者)が特に注意が必要と思われる点について報告いたします。
2.排出者の責任について
- (1)廃棄物の処理体制
「医療関係機関等は、医療行為等によって生じた廃棄物を自らの責任において適性に処理しなければならないと定められております。」(法第3条)
廃棄物を分別・再生利用することにより減量化に努め、その他適正な処理の確保に関して国および地方公共団体の施策に協力しなければならない。
- (2)感染性廃棄物の管理体制
「医療関係機関等の管理者等は、感染性廃棄物を適正に処理する為に、特別管理産業廃棄物管理責任者を置き、管理体制の充実を図らなければならない」(法第12条の2第6項)
管理責任者は処理計画書及び管理規定に基づいて排出・分別・梱包等に係る具体的な実施細目を作成し、医師、看護師、清掃作業員等の関係者に周知・徹底する必要があります。
- (3)処理計画の作成
「管理者等は、施設内で発生する感染性廃棄物の種類、発生量等を把握して適正な処理が行われるよう処理計画を定めるよう努めること」
処理計画には次のことを定める。
- 発生状況
- 分別方法
- 施設内の収集運搬方法
- 梱包方法
- 保管方法
- 収集運搬業者及び処理業者の許可証、委託契約書
- 緊急時の関係者への連絡体制
- (4)処理状況の帳簿記載及び保管
「管理者等は感染性廃棄物の処理が適正に行われているかどうか常に把握し、処理について帳簿を作成するとともに、一定期間(5年間)保存しなければならない。」(法第12条第11項 他)
- (5)分別
「感染性廃棄物は他の廃棄物と分別して排出するものとする」
- 感染性廃棄物
- 非感染性廃棄物(医療行為等に伴って生ずる廃棄物のうち感染性廃棄物以外の廃棄物)
- 上記以外の廃棄物(紙くず・厨芥等)
- (6)施設内における移動
「感染性廃棄物の施設内における移動は、移動の途中で内容物が飛散・流出するおそれのない容器で行うものとする。」
- (7)施設内における保管
- 感染性廃棄物が運搬されるまでの保管は極力短期間とする
- 感染性廃棄物の保管場所は関係者以外立ち入れないように配慮し、感染性廃棄物と他の廃棄物と区分して保管しなければならない。
- 感染性廃棄物の保管場所には、関係者の見やすい箇所に感染性廃棄物の存在を表示するとともに、取り扱いの注意事項を記載しなければならない。
(法第12条の2第2項、規則第8条の13)
- (8)梱包
「感染性廃棄物の収集運搬を行う場合は、必ず容器に収納して収集運搬することになっているため、収集運搬に先立ち、あらかじめ、次のような容器に入れて、密閉しなければならない。」
- 密閉できること。
- 収納しやすいこと。
- 損傷しにくいこと。
- (9)表示
「感染性廃棄物を収納した容器には感染性廃棄物である旨及び取り扱う際に注意するべき事項を表示するものとする。」
(令第6条の5第1項第1号、規則第1条の10)
「非感染性廃棄物を収納した容器には、必要に応じて非感染性であることの表示を行うことを推奨する」
- (10)排出事業者の責任
「医療関係機関等は、委託基準やマニフェストについて法令上の義務を遵守することに加えて、感染性廃棄物が最終処分に至るまでの一連の工程における処理が不適切に行われることのないように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」(法第12条の2第5項)
- 技術的能力や経理的基礎を欠く状況に陥ってる等、不適正処理を行う恐れのある産業廃棄物業者に委託しないこと。
- 適切な処理に必要な料金を負担すること。
- 不適切処理が生ずることを知った場合に委託を中止する等の状況に応じた適切な処置を講ずること。
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